Vol.11 水滴の中の世界
静かに雨が降ると植物に水滴が付着します。その水滴をよく見ると、面白いものが見えます。小さな水滴の中に別世界があったんです。水滴越しに見える景色や花々は、逆さに映ります。
この水滴の中の世界を写すとなると、いろいろな条件があって大変です。雨は静かに霧のように降ること。風もなく水滴や植物が揺れないこと。このような条件を満たして撮影ができます。
水滴の奥に写したい花がこちらを向いて咲いていること。その花との距離が1m以内にあること。シャッタースピードは125分の1以上の早いシャッターで写すこと。問題はF値です。F8以上16ぐらいまでで写すこと。小さな水滴の中にも空間があり、水滴の輪郭をはっきりと写すと中にある花までの距離があるためにボケます。以上のようなことが一つでも欠けてしまうと写せません。撮影よりも写す場所や花の向きなどを探すのがコツです。雨がしとしと降ったらチャレンジしてみてください。使用するレンズは100㍉マクロレンズに厚みが25㍉の中間リングも使用します。三脚を使わないと、ピンとは合いにくいです。
◆ カメラ:キャノンEOS5DMarkII ◆ レンズ:100ミリマクロレンズ ◆ F値:F11 ◆ シャッタースピード:1/250 ◆ ISO感度:400 ◆ WB:くもり (2012年6月25日更新) |
小川清美先生と行くスイスアルプスツアー
小川清美(おがわきよみ)プロフィール
1949年東京杉並に生まれる。ガラス工芸デザインを経て、1980年に独立。1989年からスイスアルプスの撮影を本格的に始める。2008年5月コダックフォトサロンにて「移ろう季節スイスアルプス」の個展を開く。スイスアルプスの麓に住む猫の撮影も、5年ほど前から写し始める。旅行会社主催のスイスアルプスハイキングならびに、小川清美写真教室主催の個人旅行でガイドならびに写真講師をおこなう。
著書「スイスアルプスの旅」「スイスアルプスを撮る・やさしく学ぶ写真教室」(新潮社)、「スイスアルプスハイキング案内」「ヨーロッパアルプスハイキング3冊」「四季を楽しむスイスアルプスハイキング」(山と渓谷社)、「ねこ・スイスアルプスからの便り」(コダックフォトギャラリー)がある。